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<ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会>

2023年3月31日、大阪府で、有志の弁護士会員の方々と、意見交換会を行いました!

2023年3月31日に,変えよう!会代表の及川智志ほか支援者の弁護士と大阪府の弁護士会員有志の方々との意見交換会を開催させていただきました。

リアル+オンラインでの会議で実施し、ベテランから若手弁護士まで多数の方に幅広くご参加頂きました。
①法曹人口問題、②法曹養成制度の問題、③法テラスの問題などについて、率直なご意見をいただき、有意義な意見交換となりました。
いただいたご意見のうち、いくつかのご意見の要旨をご紹介します。

このページの内容

【及川智志代表 あいさつ】

2012年宇都宮日弁連会長時代に司法試験合格者を年間1500人に減員することを求める提言があった。それから10年経って、年間1500人がほぼ達成された。最近は年間1400人台になっている。2012年提言では「1500人からの更なる減員」については検証しつつ対処とされていたところ、検証した結果が、配布した2022年3月17日付け「検証結果」では「更なる減員を提言する状況にない」という結論になってしまっている。
しかし、「検証結果」には疑義がある。たとえば、全国の裁判所の全新受件数は4割以上減少しているのに「変わらない」としていたり、訴訟外の業務が拡大しているとしていたり。企業内弁護士が年間200~300人くらい増えている(合計3000人近くになっている)。5大事務所の新人採用数が年間100人くらい増えている。しかし、訴訟外業務が拡大しているというのはその限度ではないのか。また、「検証結果」は、司法基盤整備の諸課題のため、弁護士増が必要という。
「検証結果」には30~40年後を考える長期的視点がない。
手続的な問題としては、単位会への意見照会で、27もの単位会が反対ないし賛成しないとしたのに、日弁連はこの「検証結果」に基づく提言を強行した。
司法試験合格率は2016年の23%が6年で2022年に46%に倍増した。
民事司法改革の総会決議が3月にあり、それがどこまで進むのか、注視する必要がある。

【法曹人口・弁護士の偏在、法曹養成問題】

・都市部に弁護士が集中している。
他方、地方の会費が高すぎるので、地方は新人に本当に入ってもらいたいのか疑問に思う。

・法科大学院は都市部の限られた場所に集中している。そうすると大都市での生活基盤ができている。人間は全然知らないところには行かない。また修習期間が短くなった。実務修習地の縁も薄くなっている。修習前に内定も出ている。これらが新人が大都市に集中する原因ではないか。

・都市偏在は日本全体の人口問題。弁護士に限ってではない。
弁護士人口増やしても地方には行かない。
弁護士人口の増員ではなく、公設事務所をつくるなどの対応が必要。

・大きな事務所に事件が集中している。

・本来、採算が合わなくても気の毒な人の事件を受任して救いたいが、採算の合わない事件は受けられない弁護士が増えている。
そういう人がいろんな弁護士のところをたらいまわしになって相談に来るが、自分もこのような流れには逆らえなくなるのではないかと思い始めている。

・弁護士の矜恃をもって弁護士をやろうという人と(このような過剰増員の状況では)やっていられないという人とのジレンマにおかれているのではないか。

・今の競争は「いい仕事をする弁護士が生き残る」というふうにはなっていない。

・(報酬水準が低額で)採算の合わない法テラスを拡充したところでどうなるのかと思う。

・日弁連が積極的に広告を打っているからか、弁護士を使わない方が早く解決につながるのではないかと思われる相談案件の割合が増えているように感じる。

・本気で「自由競争」ということであれば、弁護士は、公益活動など止めて金儲け主義に走ることを認める以外にはない。

・利用者が弁護士の仕事ぶりを理解してきちんと評価できないと自由競争は成立しない。

・肌感覚からして仕事は減っているが、ある弁護士からは手持ちの事件数が「遺産分割200件、交通事故500件」といった話をきいて驚いた。広告でかなり事件が集中しているのかどのようにしてこんな事件数を抱えられるのか、定型的処理をしているのかもしれないが、それでも限界があるのではないか。

・弁護士は斜陽産業である。

・司法試験は平均点から50点も低い人まで受かっている。合格時の平均的な質は下がっているとおもう。

・裁判官の質も低下している。判決もコピペで誤字まで同じだったという例がある。廃棄すべきでない事件記録の廃棄についても極めて問題である。

【法テラス問題】

・最近、国選も民事法律扶助も契約をやめた。
ボランティアの強制である。日弁連は、低額な報酬水準などの問題に何も戦っていない。
・なぜ強制加入団体なのか、何故弁護士自治が必要なのか疑問に思う。
・法テラス事件は、独立したばかりの事務員のいない弁護士には受けにくい。
・これから法テラス事件の担い手がなくなるのではないか。
報酬が低額で割に合わないし、報告書等書類作成が煩雑すぎる。

【及川智志代表 まとめ】
弁護士の過剰供給によるプロフェッションモデルの転換と町弁絶滅プロセスの進展について強い危機感を持っている。弁護士は医師や聖職者とならびプロフェッションであるとされ、高い専門性、独立性、公益性が求められてきた。しかし、弁護士激増により、プロフェッションではなく、弁護士がただの法律サービス提供業者になりつつある。
また、都会の巨大事務所が大量集客、大量処理により利益を上げるために地方の法律需要を吸い上げている。そのため、自由と正義を支えてきた町弁が絶滅しつつある。
こうした状況を変えなくてはならない。
そのためにみなさまのご理解とご支援をいただきたい。

大阪会の皆さんからは、会員の皆さんが、弁護士人口の過剰増員による「自由競争」の在り方についての疑義、現在の法曹養成制度、法テラスの問題(特に不合理な報酬の低額さ)について、問題意識をもっていることを強く感じます。

現在の、日弁連の取組ではいずれも極めて不十分なところであり、このような声が挙がるのももっともです。

こうした会員のご意見に,日弁連はきちんと応えていく必要があります。

ご参加頂いた皆さま、本当にありがとうございました!

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