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<ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会>

弁護士人口増加のペースを緩和する

(司法試験合格者数を1000人以下に)

「司法改革」の名の下にはじまった弁護士激増政策は、2015年6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議決定により、司法試験合格者年間1500人以上を維持するとされ、日弁連は、2022年3月17日、「法曹人口政策に関する当面の対処方針〜司法試験合格者数の更なる減員に関する検証結果〜」(以下「当面の対処方針」といいます。)をとりまとめ、この年間合格者数を、事実上、追認しました。

 司法試験合格者数が年間1500人であれば、毎年、約1000人の弁護士が増加することになり、この人数は、北海道弁連(4会)または東北弁連(6会)の合計会員数に匹敵します。つまり、毎年、北海道弁連または東北弁連がひとつずつ増えていくようなものです。

 もう少し長い期間でみると、2000年には1万7126人だった弁護士数が、2023年2月には、すでに約4万5000人を超えており(約2.63倍)、2029人には5万人を超え、2039年には6万人を超え、2049年には6万4000人を超えることになります(日弁連ホームページ及び弁護士白書)。

 日本の人口は減少の一途を辿っていきますから、人口が減少し続けていくなかで、弁護士だけが増え続けていくことになります。これは、ひとつの業界としてはありえない、異常な事態です。

 訴訟事件は減少しており、新たな業務が増えているとはいっても微増または一部にとどまり、弁護士の急増に追いつくようなものではありません。そのため、弁護士は激しい競争にさらされています。

 弁護士は民間の自営業者であって、売上から事務所経費をまかない、家庭を守り子どもを育て老後の準備もして、場合によっては奨学金や修習貸与金を返還し、生活していかなければなりません。激しい競争にさらされ、一方で、日弁連執行部からは「弁護士の責務」を求められます。

 このような生活のなかで、基本的人権を擁護し社会正義を実現するという弁護士の使命を全うできるでしょうか?
 しかも、弁護士の稼働年数は43年と想定されていますから(弁護士白書)、今年の新入会員は40数年間、弁護士を続けることになります。それなのに「当面」のことしか考えない「当面の対処方針」は無責任です。

 弁護士激増政策を見直し、弁護士人口増を緩和するため、司法試験合格者数を速やかに年間1000人以下にするべきです。司法試験合格者数を年間1000人以下にしても弁護士数が減少に転じるわけではありませんが、増加のペースを緩やかにすることができます。

 なお、地方会への新人弁護士の登録が減っていると言われますが、これを弁護士人口増加で解決することはできず、地方会での登録を後押しするための制度的支援や、弁護士の需給マッチングといった別の政策が必要です。
 日弁連は、「当面の対処方針」を見直し、会員や単位会による議論を尽くして、弁護士の将来を見据えた、法曹人口政策に関する方針を定めるべきです。

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