声明・申入

法曹人口の検証についての申入書

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2021年2月1日

日本弁護士連合会
会長 荒 中  殿

ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会
代表 及川 智志

 会務運営にご尽力をいただきありがとうございます。とりわけ、新型コロナウィルス感染症への対応のなか、大変なご苦労をいただき、感謝申し上げます。法曹人口の検証は、弁護士の将来を左右する重要課題ですので、このような時期ではありますが、以下のとおり、法曹人口の検証についての申入をさせていただくとともに、質問をいたしますので、これにご回答をいただきますようにお願い申し上げます。

第1 司法試験合格者数と重大な懸念

2020年度の司法試験合格者数が本年1月20日に1450人と発表されました。政府が掲げる目標の「1500人程度」を達成したともしなかったとも言い得る微妙な人数ですが、いずれにせよ、合格率は39.2%まで上昇しています。

すなわち、司法試験の合格率は、2011年以降以下のとおりであり、近年急激に上昇しています。

2011(H23)年 23.5%(合格者2063/受験者8765)

2012(H24)年 25.1%(合格者2102/受験者8387)

2013(H25)年 26.8%(合格者2049/受験者7653)

2014(H26)年 22.6%(合格者1810/受験者8015)

2015(H27)年 23.1%(合格者1850/受験者8016)

2016(H28)年 22.9%(合格者1583/受験者6899)

2017(H29)年 25.9%(合格者1543/受験者5967)

2018(H30)年 29.1%(合格者1525/受験者5238)

2019(R01)年 33.6%(合格者1502/受験者4466)

2020(R02)年 39.2%(合格者1450/受験者3703)

このような合格率の顕著な上昇は、司法試験合格者を1500人程度とすることを至上命令とすることから生じる現象であって、法曹養成制度改革推進会議が2015年6月30日付け取りまとめにおいて、「輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものでないことに留意する必要がある」と指摘していることを蔑ろにし、司法試験合格者の質の確保よりも合格者数の確保を優先しているものとして強く危惧せざるを得ません。

また、弁護士人口の急激な増加は、弁護士の経済的基盤の破壊などにより、人権擁護の担い手たる弁護士の持続可能性に重大な懸念を生じさせています。

このような状況下、貴連合会は、司法試験合格者数の1500人からの「更なる減員」を検証するため、「法曹人口検証本部」を設置し、2020年9月から議論を進めている

ところであり、当会もその行方に重大な関心を有しております。そして、法曹人口の検証においては、一般の弁護士の実態を正確に把握し、一般の弁護士から広く意見を聴く必要があることは言うまでもありません。

第2 弁護士ドットコムタイムズのアンケート調査

弁護士人口の行方については社会的関心も高まっているところであり、たとえば、「弁護士ドットコムタイムズ」は、法曹人口のあり方や、法曹養成についての現状認識や課題について、会員弁護士にアンケートを実施し、490人の弁護士から回答を得た(実施日:2020年12月17日〜12月23日)として、概要、以下のアンケート結果を公表しています。

①司法試験合格者の適正数について

1500人未満との回答が9割、1000人未満との回答が6割強を占め、最多回答は500人以上〜1000人未満(51.8%)であった。

②法曹の選抜試験のあり方、ロースクールの位置付けの見直しの必要性など

全体の約7割が、現在、「法曹養成機能の中核」とされているロースクールの位置付けの見直しの必要性を感じている。

③自由回答

法曹人口、裁判官・検察官の採用数や法曹養成のあり方などに関して103人から寄せられた自由回答のうち法曹人口については、弁護士の勤務条件の悪化などを受け「法曹人口を減らすべき」とする意見が相次いだ。

第3 申入

当会は、法曹人口の検証において、一般の弁護士の実態を正確に把握し、一般の弁護士から広く意見を聴くために、貴連合会こそが、法曹人口及びこれに密接に関連する法曹養成について、全国の全ての弁護士を対象にしたアンケート調査を実施するべきである、と考えています。

なお、弁護士ドットコムタイムズによる上記アンケート結果が仮に信用できるものだとすれば、貴連合会の法曹人口・法曹養成政策は多くの弁護士の意見・世論を反映していない、ということになります。こうした疑義を払拭するためにも、貴連合会は、上記のとおりアンケート調査を至急実施するべきです。

つきましては、当会は、貴連合会が、法曹人口及びこれに密接に関連する法曹養成について、全国の全ての弁護士を対象にしたアンケート調査を実施することを強く求め、その旨本書をもって申し入れます。

あわせて、当会は貴連合会に対し、上記のようなアンケート調査を実施するかしないか、もし実施しないのであれば、その理由について、本年2月末日までに当会宛てに文書でご回答いただきたく存じます。なお、いただいたご回答については(ご回答がいただけない場合にはその旨も含めて)、公表を予定しております。

以 上