政策のご案内

5 日本司法支援センターの報酬見直しと法律援助事業の国費化

(1) 低額かつ不合理な報酬の見直し

法テラスの民事事件援助について、報酬と実費を引き上げるとともに,被援助者への給付制を実現すること,少なくとも償還免除を大幅に拡大することを求めます。
現在の法テラスでは、ほとんどが被援助者が後に分割で法テラスに弁護士報酬を返済しなければならない償還制になっているので、被援助者、つまり依頼者から見ると結局弁護士報酬をローンで支払っているに過ぎません。低所得者が償還を強いられる現状では、低所得者の裁判を受ける権利を保障するという法テラスの趣旨が実現されていると言えません。償還免除については,生活保護に準ずる被援助者の償還免除拡大に向けた運動も強化発展させる必要があります。また、一部償還免除を認める一般的な制度の創設を求めます。
また、法テラスのあまりに煩雑な手続を簡略化するなど,手続面での改善も強く求めます。法テラスの民事事件援助を使おうとしても、弁護士に煩雑な手続が短期間の内に求められるために、民事事件援助を却下されたり、利用を断念したりする例も後を絶ちません。
これらの課題は,全国で意見交換会をさせていただくと,いつも強く意見が上がる重要課題です。法律扶助は弁護士の協力なくしては成り立たないものですから,日弁連会長が先頭に立ち,日弁連が一体となって,政府に対して改善を求めていけば,これらの課題は必ず解決できるはずです。

(2) 法律援助事業の国費化

犯罪被害者(国選被害者参加以外の案件),難民,外国人,子ども,精神障害者等,生活保護などの分野における法律援助事業については,現在は,国費負担ではなく,弁護士会費で賄われています。これら「法律援助基金会計」の事業活動支出額が,2018年度の決算額で約5.9億円,2019年度の予算額で約7.4億円に達しています。
これらの分野において,またさらに新たな分野において,人権擁護活動を一層充実していく必要があることは当然ですが,一方で,これらの事業については,人権を守る事業そのものなのですから、私たちの会費で賄われる筋合いのものではありません。すべての法律援助事業について、早期に国から費用を支出すること(国費化)と、国選被害者参加制度の拡充を求めます。

(3)財務省説得のための世論喚起

かつて日弁連は,法律扶助制度の抜本改革に向けて,三者勉強会(日弁連,法務省,法テラス)を開催していました。2009年には法律扶助制度抜本改革のための「たたき台」も作っています。しかし,その後,日弁連は動きを止めてしまいました。
法律扶助の充実のためには,財務省を説得する必要があります。そのためには,三者勉強会を再開するとともに,市民団体との連携,全国での署名活動,地方議会からの意見書提出の働きかけ,院内集会やシンポジウムの開催などを通じて世論を広く喚起し、国民の声を財務省と政治に届けることが必要です。前述の償還免除の拡大とあわせ、法テラスが弁護士と国民にとってもっと利用しやすくなるよう、国民に広く訴えかけます。

(4)日弁連と法テラスの「なれ合い」を断ち切る

いまの日弁連執行部は,法テラスや法務省との関係悪化をおそれるあまり,言うべきことを言えない「体質」に陥っています。日弁連事務次長経験者が退任直後に法テラスの事務局長に就任するなど,日弁連と法テラスの密接すぎる「なれ合い」関係も,この「体質」から抜け出せない要因となっています。法テラスをめぐる問題を解決するためには,日弁連と法テラスの「なれ合い」を断ち切り,法テラスと法務省に対して言うべきことを言う日弁連執行部をつくることが必要不可欠です。