変えよう!会の新しい政策、ぜひご覧ください。
<ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会>

2021年9月10日 変えよう!会 フォーラム21を開催しました!

先日,9月10日に,変えよう!会主催のフォーラム21を開催しました。

新型コロナウィルスの感染拡大防止のため,ZOOM会議での開催となりましたが,全国から多数の参加をいただきました。パネリストの皆様,ご参加いただいた会員の皆様,本当にありがとうございました。

変えよう!会では,現場からの声,困っている若手の声を大切にしていきます。これからもそのような声を丁寧にお聴きし,政策,活動に反映していきたいとおもっています。

当日ご参加できなかった皆様のために,まとめを以下に掲載しますのでご覧ください。

司会:武本夕香子弁護士(元 兵庫県弁護士会・会長)

このページの内容

1 宇都宮健児弁護士(元日本弁護士連合会会長)からのビデオメッセージ

メッセージ要旨

・今日の集会で及川代表をはじめとする,変えよう!会の人たちが日弁連の改革にチャレンジしようということを聞いて,大変期待して,頼もしく思っている。

・今,弁護士会が抱えている課題について明らかにして,それを会員に提示して,喧々諤々の議論をやるべきと思っている。

・弁護士会,弁護士の状況をみると,経済的に苦しい弁護士が増えている,そのことで,弁護士が内向きになっているのではないかと思う。

・コロナ禍で,社会のあり方が問われている。多くの人が住まいを失うなどして,命の危機にさらされている。そういう助けを求めている人たちに手を差し伸べていく,人権を守っていく,そういうことをやれるような弁護士会,弁護士にしていかないといけないと思っている。

・国の政策や立法におかしいところがあれば,きちんと国民の権利を守る,そういう視点から行政にも立法にも文句を言える,そういう司法を創りあげていかないといけない。こういうことが,今一番国民から期待されているのではないか。そういう議論も含めて喧々諤々の議論をやっていただきたいと思う。

・弁護士会が内向きになっていって,国民の期待に添えない弁護士会になっていくことを懸念している。

・今の沈滞した状況を打破するような活発な議論,運動を展開してもらいたい。

・及川弁護士には期待をしている。

2 パネルディスカッション

パネリスト:

三輪記子(みわふさこ)弁護士(第一東京弁護士会)63期

久野由詠(くのよしえ)弁護士(愛知県弁護士会)65期

太田伸二(おおたしんじ)弁護士(仙台弁護士会)62期

パネリスト兼コーディネーター

及川智志(おいかわさとし)弁護士(元千葉県弁護士会・会長)51期

テーマ:

  • (1)法テラス・国選弁護の問題
  • (2)法曹人口問題
  • (3)谷間世代・給費制問題
  • (4)日弁連の会務運営問題

(1)法テラス・国選弁護の問題

ア 及川弁護士より,変えよう!会の政策の説明

<政策はこちらをご覧ください。>

第1 弁護士がその使命を全うできるよう弁護士の生活を守る

イ 三輪:法テラスについては,報酬の増額が大切だと考えている。

「低い報酬のままでは業務のクオリティが維持できない」という点は,弁護士にとっても問題だが,被疑者・被告人や民事法律扶助の利用者の利益に直結してくる。理想論といわれるかもしれないが,社会の中で声をあげられない人たちの代弁者としての弁護士,現在の低額な報酬制度はそういう人たちにしわ寄せがいくことになる,そういう状況を法テラスの報酬制度が温存しているともいえるのではないか。

その現実が世の中の人になかなか理解されないのは,日弁連にその責任の一端があるのではないか。日弁連はもっと世の中にアピールして行くべきと思っている。

及川:本質的なご指摘と思う。低額な報酬の水準を上げる,弁護士は良い仕事をする,それをわかってもらうことが日弁連の仕事。

太田:宮城県で,労働問題や貧困問題に取り組んでいる。

お金のない依頼者が多く,法テラスの利用は多い。

変えよう!会の法テラスの政策には,すべて賛成。

この問題は,「どう実現するか」だと思っている。

弁護士だけで挑んでもどうしようもない,依頼する人たちを説得しないといけない,弁護士費用は安い方が良いに決まっている,しかしそれではなぜ駄目なのかをきちんと市民に理解してもらわないといけない。いまのこの(低額な)報酬体系では,続けられない,持続可能な報酬体系ではないことを日弁連が率先して伝えていかないといけない。

参考になるのは初期の給費制の運動だと思う。

日弁連だけが動けば良いということではなく,各地で各地の人々と膝詰めで話をしてその積み重ねの延長に日弁連の活動があり,日弁連はこれを先導するそういう取り組みが有効だと思う。

及川:まったく同感。弁護士だけで挑んでもどうしようもない。

現在の日弁連は日弁連だけでどうにかしようとしている。それでは駄目。宇都宮さんと一緒にやった貸金業法改正の運動の体験がある。

久野:貧困問題,非行少年の立ち直りに関するNPOにも関与している。

法テラスの利用が多いが,法テラスには問題が多いと思っている。

報酬の適正化と手続の簡素化は本当に早く実現して欲しい。

改善しないようであれば,法テラスと契約する弁護士がどんどん減少するのではないかと心配している。

及川:貧困問題など困難な分野に実際に取り組む弁護士が感じている法テラスの問題点は,改善しないといけない。煩雑な手続についてもすぐに変えないといけない。そのために日弁連は動かないといけない。

(2)法曹人口問題

ア 及川弁護士より,変えよう!会の政策の説明

<政策はこちらをご覧ください。>

第4 法曹養成制度の改革

イ 太田:自分は新62期,自分のあたりから数年間就職難の時期だった。

新旧あわせて年間2000人を超える合格者数は,無理な増員だったと思う。

増員ペースにブレーキをかける必要があることはわかる。では果たして司法試験合格者数について何人が適正かというのは,難しい問題。

科学的にぴたっと数字が出てくる性質の問題でもないかもしれないので,いったん何人と決めたからといってそれをずっと固定するというものではなく,弁護士の置かれている状況,社会の需要などをみながら,継続的に検証を続けないといけない問題ではないかと考えている。そういう検証の恒常的な仕組を日弁連の中に組みこんで置く必要がある。

及川:議論し続けることは本当に重要だと思う。

現在,日弁連でも検証本部で議論をしている。

今年の合格者は1421人。こういった状況を見ながら議論し続ける必要がある。

久野:制度変革に振り回されてきた世代としては,当事者の意見を大事にして欲しい。

議論にあたって,受験生の受け止めという視点は欠かせないと思っている。

及川:当事者目線で考えていく必要があることはそのとおりだと思う。

三輪:自分は新63期,就職難がひどかった。インハウスの募集は沢山有るけど,採用は厳しかった。「弁護士の過剰な増員がもたらす市民生活への影響」を心配している。弁護士が少ないパイを奪い合うことが,市民にとって本当に良いことなのかは疑問がある。

増員の恩恵を受けた人間が,合格者数について減員の意見を言うなという意見も聞くがそれは違うと思っている。それは危うい意見。意見を言う資格を制限するような議論の仕方は危ない。

おかしな制度については,制度の恩恵を受けていようがいまいが,自分の意見は言っていくべきだと思っている。

合格者数については,今年の司法試験の合格率(40%以上)を見ていると,合格者のクオリティ維持の観点からすると,増員を手放しで推進するのではなく,もっと合格者数は少なくて良いのではないかと思い始めている。

及川:合格率の視点は,考えるべき視点の1つと思う。

「意見をいう資格」については同感。

若手の中には同じような不安をもっている人もいる。

それは,「誰のために」意見をいうのかが重要。自分たちのためにいうのか,そうでなく司法制度全体のための議論なのか。そこが重要だと思っている。

 

(3)谷間世代・給費制問題

ア 及川弁護士より,変えよう!会の政策の説明

<政策はこちらをご覧ください。>

第4 法曹養成制度の改革

 

イ 久野:自分は,新65期。

給費制廃止訴訟の原告団長として,訴訟等に対応してきた。

その中で自分の生い立ち,経済状況などさらけ出して闘ってきた。

制度としては一部復活したけれども,その中で,同世代の弁護士の他力本願的な部分も気になっていた。

自分自身は,修習貸与金は受けていない。したがって,現在,貸与金の返済をしないといけないという状況にはない。

だから,今は,現在この問題で当事者になっている人にこそ立ち上がって欲しいという気持ちが強い。

そう思っていた矢先に,給費制問題の院内集会で,日弁連執行部が消極的な姿勢を見せているということを聞いた。

現場が動いているのに執行部が非協力的なのは悲しいという思いがある。

及川:現在の荒執行部が,給費制問題に消極的だということには驚いた。

そうだとすれば,それは問題だと思う。

 

三輪:さきほどの久野弁護士の話が胸に突き刺さるような思いで聞いていた。自分は給費はもらえた世代。自分も気にはなっていたが,ほかのことで余裕がなく,手足を動かせたかというと,できていなかった。久野弁護士の感想は,自分が本当に頑張ってきた人の意見だと感じた。

自分のまわりを見ても,真剣に取り組んでいた人はやはり少数だったと思う。

こういう状況を打破しないといけないと思うが,中の人(当事者の弁護士)が頑張らないと世論としての盛り上がりもないと思う。

申し訳ない気持ちでいっぱいです。

及川:お二人のコメントが自分にも刺さった。

一緒にやりましょう。日弁連が外に打って出ないとなにもかわらない。

太田:久野弁護士の感想は,先頭に立って頑張ってきた人だからこそのもの。

共感する。

自分もビギナーズネットの立ち上げ,給費制本部などでこの問題に関わってきた。給付金制度ができたことは本当に良かった。谷間世代の人が本当に頑張った。

まだ課題が残っているし,日弁連も動いている。国会議員からのメッセージ集めなど。コロナ禍の中でも,メッセージを集めている。

給費制本部としては,院内集会を目指している。会長に院内集会に出て欲しい。

だから前の日弁連会長選挙で,会長候補にその点を質問した。みんな院内集会に出るといってくれた。その前の会長は院内集会には出てくれなかった。

まだあきらめていない。日弁連がもっと総掛かりで取り組んでいけたらと思っている。その先頭に立つ人が会長であってほしい。

及川:どう考えても不公正だとおもう。

仲間内の不公正を正さないと,社会の不公正も正せない。

日弁連会長はその先頭に立つべきだと思う。

 

(4)日弁連の会務運営

ア 及川弁護士より,変えよう!会の政策の説明

<政策はこちらをご覧ください。>

イ 三輪:自分も日弁連のあり方について疑問を感じるようになったのは,最近のことだった。気がついたときには,自分の知らないところで物事が進んでいるし,意思決定の仕組みもよくわからない。

出産育児期間の会費免除の件で,自ら意見を積極的にいわないといけないと思うようになった。

一部の人が物事を決めている実態は民主的ではないと思う。規則だけを見ていてもわからない実態。

昨年の新型コロナ特措法における日弁連執行部の政党への働きかけについても,その問題については自分だけでなく,疑問を覚える人がいて日弁連執行部への質問などを出したことで問題が明るみに出た。そういう動きがなければ,問題として顕在化しなかったのではないかと思う。

こういう状況を変えるためには,当事者意識がないことをどうにかする必要がある(自分も含めて)。

どうしたら会員に当事者意識をもってもらえるか。

総会出席のハードルを下げていくことはその1つの手段だと思う。

コミュニケーションのためのテクノロジーは発達しているのでそれを活用して,闊達な議論をしていくことが必要。

議論から逃げる組織は必ず衰退する,と思っている。

おおげさかもしれないが,弁護士会の衰退は,司法の衰退である。

少数派の人権保障の最後の砦の崩壊の危機にあるという意識を多くの人と共有したい,と思っている。

さきほどの久野先生の提起した問題とも根っこではつながっている。

そういう議論を,日弁連の上の方の人にすくい上げて欲しい。

及川:理想論を語る日弁連,いいと思う。

反対意見を聞かない組織は必ず衰退すると思う。

太田:自分は,現在日弁連総会のオンライン化の運動に取り組んでいる。

育児や介護で総会に参加が難しい会員がいる。自分もそう。

そういう人を総会参加から排除してはいけない,という問題意識。

どういう形で実現するか,と考えている。

会員の発案,発意で起きた運動が日弁連を変えていく,ということ自体に意義があると思っている。日弁連は多くの会員にとって遠い存在。

その1つのきっかけにしたいと思っている。

会長選挙では,候補者全員にこのテーマを問いかけたいと思っている。

そして実現したオンライン総会が日弁連を変えていくのではないかと思っている。

及川:自分もオンライン総会を実現したいと思っている。オンライン化したくない人は,いろいろな意見を聞きたくない人なのだと思う。ぜひ実現したい。

久野:自分は,2018年の人権大会の分科会を体験して,決議採択の際に,疑問を覚えた。限られた人数での決議が日弁連の意見となることに,問題意識を持つようになった。

弁護士界のダイバーシティ・インクルージョンを求める会で活動している。

ハラスメント,ジェンダーバイアスに基づく女性の不利益の是正を目指している。副会長クオーター制があるが,多様性は不十分だと思う。年齢が上のほぼ男性が執行部を占めている現状。

執行部の構成自体を,男女に限らず期の構成なども含めて多様性を確保していくべきと考えている。会として日弁連会長候補者に質問状を送ることなども検討している。

 

及川:ダイバーシティを欠く組織は衰退する,と思っている。

質問状をお待ちしている。

 

(5)まとめ

太田:言いたいことをいわせてもらう機会をいただいて感謝している。いろいろやりたいことがあり,やっていこうと思っている。それに応えてくれる日弁連になってほしい。会長選挙はそのきっかけになると思う。

 

久野:言いたい放題いわせてもらってありがとうございました。

現場からの声をこのように吸い上げてもらう機会を設けていただけるのはありがたいし希望を持ち続けられる。

「議論を巻き起こすことですこしずつ変えていきたいんだ」という及川さんの声に一番感銘を受けたところ。どんどん,発信していってほしい。

 

三輪:政治も民主主義の危機に陥っている。しかしそれをいう日弁連の足下はどうか。まずは自分たちの足下がどうかと問われるのは当然だと思っている。

及川:前回の日弁連会長選挙は,候補者が5人立ったことで投票率が10%上がった。わたしは,もっと日弁連にきちんと意思表示をする会員が増えることこそが大事だと思っている。

それが日弁連を変えていく,新しい日弁連を創っていく力になっていくと思っている。

また,皆さんと意見をたたかわせたいと思っている。そのときはよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

 

4 森山文昭弁護士(変えよう!会幹事長,愛知県弁護士会) 閉会のご挨拶

・パネリストの皆様,出席していただいた会員の皆様,ありがとうございました。

・約100人の方に参加していただき,中身の濃いディスカッションができた

・パネリストの皆様の発言,一言一言が重みのあるお話だった

・日弁連のあり方について,これほど濃い議論ができた場所は自分の経験ではない

・変えよう!会の政策は,ぜひHPを閲覧して欲しい。お知り合いに広めて欲しい。

以 上

 

 

 

 

 

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