5,国選弁護の見直しと拡充を求める重点政策

重点政策案 第5:国選弁護の見直しと拡充を求める

1 国選弁護制度についてさらなる拡充が必要です。

(1)逮捕直後からの国選弁護人の選任を求めます。
勾留後の被疑者国選は全ての事件に及ぶことになりましたが、逮捕直後から国選弁護人選任を義務づける必要があります。  

(2)在宅被疑事件の弁護についても国選弁護制度を導入する必要があると考えます。
 警察の取調べを受け、まだ逮捕に至っていない被疑者のうち、経済的に私選弁護人を選任できない被疑者についても刑事弁護の必要があるからです。在宅事件を含めた包括的な国選弁護制度が必要ではないでしょうか。

(3)被疑者国選弁護における弁護人の複数選任の規定(刑訴法37条の5)の見直しを求めます。
 現行法は、被疑者国選弁護における弁護人の複数選任について、死刑または無期の懲役に当たる事件で特に必要があるときに限定しています。しかし、それでは傷害致死事件などが含まれませんし、殺人事件であっても、その前提として死体遺棄被疑事件で逮捕勾留されることがありますが、死体遺棄では弁護人の複数選任が許可されないということになってしまいます。そこで、弁護人を複数選任できる事案を広げる必要があります。

(4)新たな刑事弁護拡充制度の導入について
 国選弁護活動における医師等の鑑定費用を支援する制度、国選弁護の後に弁護士が医療・福祉機関等に繋ぐ支援をした場合に報酬や費用を支払う制度など、いくつかの弁護士会で先進的な取組がされていますが、こうした新たな刑事弁護拡充制度を全国に広げていきたいです。

2 国選弁護報酬の見直しと拡充を求めます。

(1)不起訴事件について、報酬を見直し、拡充するべきです。
 起訴後の弁護活動では、無罪や一部無罪については国選弁護報酬   が支払われます。また、国選報酬改善運動の結果、勾留取消等の弁護 活動については報酬が支払われるようになりました。
 しかし、現行制度では「嫌疑なき不起訴」への報酬増額がありません。たとえば、被疑事実を争っていて、弁護人が活動し、防犯カメラを弁護士会照会で採証するといった相応の調査をして、その調査活動の結果、不起訴になったとしても、国選弁護報酬は支払われません。これでは弁護活動が正当に評価されているとはいえず、問題です。
 また、現行制度では「入口支援」の結果、不起訴になっても報酬増額がありません。精神障害のある被疑者やホームレスの被疑者などに ついては、刑事施設に送るよりも、しかるべき医療・福祉機関等に繋ぐことによって、本人の支援に資するとともに、結果として、再犯防 止、社会的コストの削減になると考えられる場合があります。そして、 そのようないわゆる「入口支援」を弁護人がすることで、不起訴になることがあります。このようなケースでも、現在は国選弁護報酬は支払われません。
  以上のような不起訴事件の弁護活動についても正当な報酬が支払われるように制度を改善するべきです。

(2)保釈は1回しか考慮しないという報酬制度も問題です。
 現在、一審の刑事弁護においては保釈が1回しか考慮されないことになっ ています。たとえば、一審の刑事弁護において、公判中に保釈決定を得て、実刑判決が言渡された後、被告人が控訴する前にもう一度弁護人が保釈決定を得たとしても、2回目の保釈は報酬の対象とされない建て付けになっています。
 このような制度は、弁護活動の労力が保釈のたびごとにかかることを考慮しないもので、明らかに不当ですから、見直すべきです。