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<ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会>

給費制廃止違憲訴訟最高裁決定に強い遺憾の意を表する声明

2019年7月24日

          ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会
千葉県松戸市本町5-9 浅野ビル3階

                      代表  及 川 智 志

当会は、司法試験合格者年間1000人以下、法科大学院を前提としない法曹養成制度、給費制完全復活と「谷間世代」への国の是正措置、法テラス報酬・実費引上と返還免除拡大、日弁連会費の適正化・透明化、日弁連重要政策の民主的決定といった、実現すべき課題を掲げ、それらの実現のため、まずは日本弁護士連合会の政策やあり方を変え、ひいては市民のための司法を実現しようと考える弁護士で構成する任意団体です。

当会は、司法修習生に実質的な給与を支給する「給費制」を廃止したことが憲法違反であるとして、修習を受けた全国の弁護士が国に1人1万円の損害賠償を求めた訴訟において、当月10日付けで最高裁判所第2小法廷(三浦守裁判長)が弁護士の上告を退ける決定をしたことにつき、強い遺憾の意を表明します。

なぜなら、法曹養成は国の責務であるからです。日本国憲法は基本的人権を保障しています。また、司法は、国権において、立法と行政の誤りを正し、少数者の人権を擁護するという重要な役割を果たしています。さらに、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」(弁護士法1条1項)と規定されるなど、法曹はわが国において人権擁護の砦です。ですから、法曹を養成し、その質を維持し、基本的人権の擁護を実現することは、国の責務です。

このように法曹養成は国の責務ですから、法曹養成の費用は国が負担しなければなりません。また、法曹になるためには、司法試験の合格後、相当期間の司法修習に専念する義務が課され、その期間においては原則として他の仕事に就いて収入を得ることが禁止されています。とすれば、司法修習期間においては、修習に専念し生活を営むことができるだけの給与が支払われなくてはなりません。

したがって、修習生が給与を受ける権利は憲法上保障されていると解すべきです。それにもかかわらず、これを否定した一審及び二審の判断を最高裁が支持したことは、憲法の解釈適用を誤ったものといわざるを得ません。裁判所法を改悪して、司法修習生に実質的な給与を支給する「給費制」を廃止したことは、憲法に反します。とくに、新65期から70期の修習生には修習給付金(基本給付金135,000円等)すらも支払われていないのですから、国が法曹養成の責務を果たしていないことが一層明らかです。

ですから、法曹養成を国費で賄う制度に戻す必要があります。つまり、司法修習期間を2年間に戻し、その間の生計を成り立たせる給費制を復活するべきです。そのためには国費負担が増えますが、一方で、法科大学院を前提としない法曹養成制度に戻すことで、国費を削減できます。また、国が責務として国費負担で法曹を養成するのですから、的確な将来需要予測に基づいた適正な法曹人口を実現しなくてはならなくなります。

よって、当会は、今般の給費制廃止違憲訴訟最高裁決定に強い遺憾の意を表するとともに、司法試験合格者年間1000人以下、法科大学院を前提としない法曹養成制度、給費制完全復活と「谷間世代」への国の是正措置といった、一連の重要課題を実現するために全力を尽くします。

以 上

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