1,ほんとうの司法改革を目指す重点政策

重点政策案 第1ほんとうの司法改革を目指す

1 司法試験の年間合格者数を1000人以下とすることを求めます。

(1)政府は、司法試験の年間合格者数を1500人以上とする、との法曹人口政策を維持しています。これを日弁連も受け入れています。
  全国の弁護士数は、新司法試験が2006年に導入された当時2万人台でしたが、いまは4万人を超えました。弁護士白書2018年版の予測によれば、弁護士人口は、2030年に5万人超、2040年に6万人超、2050年に最多の6万3374人に達します。これが司法「改革」の結果です。
 しかし、司法「改革」が前提としていた法曹需要の増加は実現しておらず、それどころか、全国の裁判所の新受件数はピーク時に比べて激減しています。民事・行政事件、刑事事件、家事事件及び少年事件の新受件数の総数は、最高裁ホームページの司法統計「全新受件の最近5年間の推移」によれば、以下のとおりです。
 2003(平成15)年 611万5202件(過去最多)
 2008(平成20)年 443万2985件
 2013(平成25)年 361万4235件
 2017(平成29)年 361万3952件
このように裁判需要は、毎年減少しており、ピーク時の半減に近づきつつあります。
 事件数の減少と弁護士数の激増に伴い、業務拡大の必要性と重要性が強調されますが、業務拡大は思ったように進んでいません。企業内弁護士などの新たな法曹需要も、弁護士の急増を吸収するだけの規模ではありません。
弁護士激増により、弁護士の収入低下が急激に進みました。国税庁の統計によれば、赤字の弁護士が約7000人もいます。

(2)新人弁護士については、日弁連のアンケート結果によると、6割以上が年俸480万円以下、2割以上が年俸360万円以下という収入状況が定着しています。ここから奨学金や貸与金や税金や健康保険料や年金を支払い、弁護士会費を支払うとすれば、弁護士としての自立どころか、結婚して家庭をもつこともなかなか難しいという状況になっています。
 給費制廃止違憲訴訟が闘われていますが、同訴訟で提出された陳述書にも、苦境を訴えるリアルな叫びがありました。新65期から69期のアンケートへの回答にも、「貸与世代同士で結婚しましたが、夫婦合わせて現在約1200万円ほどの借金があります。現在妊娠中で、しばらく休業しなければならないため、今後どうなるか本当に心配です。」といった悲痛な訴えが見られます。
 弁護士に経済的な余裕がなくなり、弁護士の数は増えたけれども、公益的活動の担い手が逆に減っているのではないかと思われる分野もあります。もちろん、弁護士としての志高く、いわば清貧に生きる弁護士もいます。むしろ、若手弁護士のなかに「清貧弁護士」が増えているのではないか、という感覚もあります。
 しかし、そうした「超人」のような弁護士に期待するのでは、弁護士会を持続していくことはできないと思います。弁護士会の全体の状況を見れば、弁護士激増によって、ビジネス化の波が押し寄せ、これに乗れない弁護士が淘汰されつつあるのではないでしょうか。経済的利益の配慮が人権擁護の要請に優越するようになってはいないでしょうか。また、過剰なビジネス化により、人権擁護のための制度であるはずの弁護士自治が破壊されつつあるのではないでしょうか。

(3)日弁連が実施した「第69期の弁護士就業状況アンケート集計及び分析結果」の自由記載欄には、「ボスのパワハラ、過干渉、会務を実質的にやらせない、弁護士業務以外の負担が大きい、仕事を教えない、外部と交流させない等いわゆるブラック事務所が多いです。このような実態を知らないまま就職してしまい、苦労したり、退職してしまう同期を何人も見ましたし、私もその一人です。」、「とにかく、新規登録弁護士が多すぎ、業界として受入余力がないので、待遇が下がってしまっている。十分な給料さえ与えられるなら、Aのような事務所でもかまわないと就職してしまい、そこで感謝してしまっている現状がある。職域の急激な拡大が不可能であるのならば、新規登録を減らす方向で対応するしか、待遇改善の道はない。弁護士会としては、新規登録数減少へ動いてほしい。」といった悲痛な意見が寄せられていました。
 さらに、第70期に対する同様の日弁連アンケートには、「弁護士の収入が減り、資格の魅力がなくなっている。司法試験合格者数の削減など具体的な措置が取られない限り、安心して今後もこの仕事を続けていけるか分からない。」、「就業状況を改善するために、司法試験合格者数を年500人すべきである。1000人などはまだ甘いと感じる。」、「弁護士会は基本的に信用できない。強制加入団体だからやむをえず加入しているだけ。今のままの弁護士会、日弁連は、百害あって一利なし。方向としてはそっちに向かっているように思う。」、「私は50代のサラリーマンで修習前の会社のインハウスになった。同期の弁護士の話を聞いていると、一部上場企業ではありえない劣悪な労働条件である。このあたりを見直さないと、若い人たちはいずれ法曹を目ざさなくなると思う。」、「弁護士の業務時間の見直しに取り組んで欲しい。」、「労働時間をなんとかしてほしい。特に、完全な雇用ではなく、業務委託のようなグレーゾーンの場合。」、「働き方改革などと世間では言っているのに、それを推進するはずの弁護士の世界は働き方が古いと感じます。委任契約を盾に残業代も支給せずに長時間労働(法定労働時間の2倍は働いています)を強いられていますが、実態から見れば何ら雇用契約と変わりません(指揮命令関係、労務対償性ともに明白)。今、同じ改革が遅れている医師業でも改革が始められています。是非、弁護士業界も自浄作用によりこの問題に取り組んでほしいと強く思います。」、「パワハラ等問題のある事務所が多いので制度的に改善してほしい。」、「70期だけで既に40人以上が離職したと聞き、その多くが、いわゆるボス弁のパワハラまがいの態度と聞いている。自分も同様の理由で転職活動中であるが、50期代以前の弁護士には、それが当たり前というような風潮が強く残っている。非常に憤りを感じるし、これに対し、日弁連乃至各弁護士会が何かしらの対応をとっていると聞いたことがない(認識していないとは考えられない。)。悪質な事務所については懲戒の対象になることを示し、ある程度指導していただきたい。」、「弁護士は長時間のハードワークにも耐えられるようなエネルギーが必要であり、生理などの不調のため休んだり3カ月以上の産休、育休をとるようなやわな女性には勤まらないという風潮を変えてほしい。」、「ハラスメント及び、給与不払い等についての調査、公表を行ってほしい。」といった、悲痛な叫びと、厳しい意見がたくさん寄せられています。
 こうした若手弁護士の現状と意見を真剣に受け止めるべきではないでしょうか。これを受け止められず、このまま日弁連が変わらなければ、弁護士会が崩壊してしまいかねないのではないでしょうか。

(4)2006年度には5784人であった法科大学院の入学者数が2018年度には1621人まで減少し、2004年度には4万3367人であった司法試験受験者数が2018年度には5238人まで減少しました。司法試験制度が変わっているので単純比較はできませんが、予備試験の受験者数が1万人程度であることを勘案したとしても、法曹の魅力は加速度的に低下しているといわざるを得ません。これも、弁護士を激増させた司法「改革」の結果です。
 このまま弁護士増加政策が継続されれば、弁護士と弁護士会の変質、弁護士自治の崩壊は免れないでしょう。弁護士と弁護士会は、日本国憲法と弁護士法のもと、戦後70年余、わが国の人権擁護に担い手であり続けました。このまま弁護士人口が増え続け、弁護士と弁護士会が変質し、弁護士自治が崩壊してしまえば、在野における人権擁護の担い手が失われてしまいます。

(5)日弁連の「法曹人口将来予測-2020年に新規法曹を1,500人にした後1,500人を維持-」(弁護士白書2018年版)によれば、「実働法曹人口は2020年に4万6,806人となり、その後も年間司法試験合格者数1,500人を維持していくと、法曹人口総数は、2063年に6万4,171人となって、新規法曹資格者と法曹でなくなる者が均衡し、安定する。このときの弁護士人口は5万7,453人と予想される。」とのことです。この日弁連の法曹人口予測では法曹資格取得者が死亡または引退で70歳で法曹でなくなることを前提にしています。ところが、弁護士白書2018年版によれば、2018年3月31日現在で70歳以上の現役弁護士が合計5318人(弁護士全体の13.27%)いますから、上記の日弁連の法曹人口予測は、かなり甘めです。
 この「甘い」弁護士白書2018年版の予測でも、弁護士人口は、以下のとおり推移し、2030年に5万人超、2040年に6万人超、2050年に最多の6万3374人に達します。

  2018年4万0066人  
  2020年4万1962人
  2025年4万6820人  
  2030年5万1754人
  2035年5万6453人  
  2040年6万0729人
  2045年6万3352人  
  2050年6万3374人
 しかも、日本の人口は減少し続けます。弁護士白書2018年版によれば、弁護士1人当たりの国民数は、以下のとおり推移し、2050年までにおよそ半減します。
  2018年3149人  
  2020年2987人  
  2025年2617人  
  2030年2302人
  2035年2041人
  2040年1826人  
  2045年1680人  
  2050年1608人
  政府の少子化社会対策白書平成30年度版によれば、日本の総人口は、2017年時点の1億2671万人が、2065年には8808万人程度へと実に30%以上減少すると見込まれています。弁護士の扱う主な事件は、基本的に人と人の紛争である以上、人口が減少すれば紛争も減少することになりますから、法的需要は今後急激に減少していくと予想されます。
 この観点からも、司法試験合格者を減員するのが相当ということになるはずです。

(6)ここで、上記の日弁連の「予測」とは別に、単純化したシミュレーションをしてみます。①司法「改革」以前の司法試験の年間合格者数が約500人だったことから、毎年500人の法曹が(元裁判官も元検察官も最後は)弁護士として引退していくと仮定し、②裁判官と検察官の新任数が近年それぞれ100人を下回っていることから、裁判官と検察官の新任数を多くても計200人と仮定すると、司法試験の年間合格者数が700人を超えれば、弁護士人口は増えていくこととなります。
 つまり、司法試験の年間合格者数が1500人の場合には、(1500-200)-500=800の計算で、毎年約800人の弁護士が増えることになります。この場合、埼玉、千葉県、京都、札幌の各弁護士会の会員数が800人前後ですから、毎年これらの弁護士会に匹敵する弁護士が増えていくことになります。司法試験の年間合格者数が年間1000人でも、(1000-200)-500=300の計算で、毎年約300人の弁護士が増えることになります。この場合、茨城県、群馬、熊本県、沖縄の各弁護士会の会員数が300人弱ですから、毎年これらの弁護士会に匹敵する弁護士が増えていくことになります。
 ここで、弁護士人口を減らすべきと考えるならば、司法試験の年間合格者数を700人以下にするべきということになります。また、仮に、現状の約4万人が弁護士人口として適正と考えるとしても、司法試験の年間合格者数を700人程度に止めるべきということになるはずです。さらに、仮に、弁護士人口を少しずつは増加させるべきと考えるとしても、前記したとおり、すでに弁護士激増の結果として深刻な弊害が生じていることを考えると、年間300人以上の増加は、もはやとうてい容認できないのではないでしょうか。そうすると、若干の弁護士増が好ましいと考えるとしても、司法試験の年間合格者数を1000人以下とするべきということになるのではないでしょうか。

(7)このように考えてくると、司法試験の年間合格者数として1000人以下を求めることについては、弁護士会内で広く合意を得ることができるはずです。
 よって、日弁連は、司法試験の年間合格者数を年間1000人以下とすることを政府に強く求めるべきです。これにより、弁護士需給のバランスを改善し、弁護士の収入が急激に低下している現状や、弁護士が自由と正義のための仕事をしにくくなっている現状を打開し、弁護士の職業的魅力、弁護士の夢とプライドを取り戻さなくてはならないと思うのです。

(8)司法試験の年間合格者数を1000人以下とすることを政府に強く求めるためには、全国の弁護士から広く意見を集約し、全国の弁護士と弁護士会が一丸になって運動を展開する必要があります。
 そのためには、全国の全ての単位弁護士会から1人以上の委員が選出される民主的な「対策本部」を設置して、運動を展開するべきです。

(9)ところで、日弁連が2012年3月15日に発した「法曹人口政策に関する提言」は下記のとおり提言していました。

 記
 司法試験合格者数をまず1500人にまで減員し、更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要、問題点の改善状況を検証しつつ対処していくべきである。

 この点、同提言は、「まず1500人にまで減員し」、「更なる減員については…対処していくべきである」としたうえ、実は、この後の部分で、年間合格者数1500人の場合だけでなく、同1000人の場合についても、法曹人口のシミュレーションを示しています。これは、当時、同提言を検討していた「法曹人口政策会議」において、同1000人以下を求める意見も強かったことから、将来的には同1000人以下を求めることもあるとのメッセージを含ませたものです。
 つまり、当時の同提言の起案者の説明によれば、「まず」とは「直ちに」を意味するとのことでした。そして、将来的な4万~6万人といった法曹人口の数字、同1000人の法曹人口シミュレーションを敢えて主文に盛り込んだのは、「1500人にまで減員し」ても、法曹人口が激増していくという危機感を表し、それを前提として「更なる減員」に向けた含みを持たせたものでした。
 同提言から4年後、2016年3月11日の日弁連臨時総会決議では、「まず、司法試験合格者数を早期に年間1500人とすること」とされ、主文から「更なる減員」が除かれましたが、これは、同提言を何ら変更するものではないとの説明が日弁連執行部から繰り返されました。
 よって、同提言が発出された2012年以降、さらに深刻化した弁護士激増のさまざまな弊害を考えれば、日弁連が司法試験年間合格者数1000人以下を求めることは、これまでの日弁連の法曹人口政策に沿ったものでもあるはずです。



(1)法科大学院に入学するためには、多額の入学金や学費に加え生活費が必要になります。奨学金制度もありますが、全員が受けられるわけではありません。また、法科大学院の近くに住んでいなければ、通学できないため、家族の生活費まで必要になる場合もあります(全国で入学者を募集している法科大学院があるのは14都道府県だけです)。
 法科大学院の単位取得はとても大変で、予習と復習、単位取得のための試験勉強等に追われ、アルバイトをする時間も基本書を体系的に読み込む等の時間を捻出するのも至難の業です。
 また、法科大学院は、あくまでも「大学院」なので、大学卒業資格がなければ進学できません。
 法科大学院の司法試験合格率が大学の至上命令となっているので、人も金も法科大学院に集中させられており、学部の空洞化も目立っています。
  弁護士の激増で経済的基盤が失われたこと等により、2018年の法科大学院の入学者数は1621人に止まりました。これは、2006年の入学者数5784人に比べると約28%にすぎず、この間、法科大学院の入学者数は3分の1以下まで激減したことになります。
   2004(平成16)年に法科大学院構想が実現に移されてから14年が経過していますが、すでに、さまざまな歪みが生じ、74校あった法科大学院のうち38校の法科大学院が廃止されるか学生の募集停止をしており、2018年7月現在で学生の募集をしている法科大学院は36校にすぎません。
 この点からも法科大学院制度の失敗は明らかです。
 そもそも、法曹は自由と正義に仕える仕事ですから、その資格試験としての司法試験は、誰でもどこでもいつまでも公正に受験できる試験であるべきです。とすれば、金と時間がない者を不利に扱い、受験資格を制限する法科大学院制度には、治癒しがたい根本的な欠陥があります。

(2)法科大学院制度の失敗が繕えなくなり、政府は、ある程度は、法科大学院の制度改革を進めています。
 しかし、政府の進める制度改革は、これまでの法科大学院の理念とされていた、①独立性、②公平性と開放性、③多様性を捨て去ってしまいました。すなわち、①法科大学院を大学の学部と一体化し、②自大学または協定大学の学部生を優先的に合格させる差別待遇を認め、③法学系課程以外の出身の者または実務経験者の割合を「3割以上」と定めた文科省告示を撤廃してしまいました。これでは、法科大学院制度の温存だけを目的とした、間違った制度改革と批判されてもやむを得ないのではないでしょうか。
 政府の進める制度改革は、むしろ、法科大学院制度の弊害をさらに深刻化させる懸念すらあります。たとえば、「5年一貫コース」(法学部3年+法科大学院2年の法曹養成コース)では、幼少期からエリート教育を受けた裕福な家庭の出身者、大学入学時または学部早期に法曹を志望する学生、概して優等生が法曹になりやすくなる反面、そのようなメインルートに乗れない学生が法曹になりにくくなるのではないでしょうか。それは、法曹の多様性を決定的に損なわせることにならないでしょうか。失敗続きだった未習者教育を具体的にどのようにすれば改善できるのかについても全く処方箋が示されていませんから、この点でも法曹の多様性はさらに損なわれてしまうのではないでしょうか。それでもなお、こうした制度改革を進めるというのであれば、法曹の多様性を確保するため、予備試験制度を拡充するべきではないでしょうか。
 また、「ギャップターム」解消との名目で法科大学院在学中に司法試験受験を認める(ただし、司法修習の要件としては、法科大学院修了が必要)との法科大学院改革も進められています。「ギャップターム」とは、3月に法科大学院修了した直後に司法試験に合格しても、同年4月から司法研修所が始まる11月までの間のことをいうのだそうです。この「ギャップターム」の解消は、以下のとおり、法科大学院制度自体の否定というべきものです。
 そもそも、司法試験法は「司法試験は…法科大学院課程における教育と…有機的連携の下に行う」(1条3項)とし、試験は「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定することを目的」とすると規定しています(2条、3条)。つまり、法科大学院在学中に司法試験の受験資格を認めるということは、法科大学院の課程を修了していない者に「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうか」を試す機会を与えることになってしまいます。これでは、法科大学院の趣旨・理念に決定的に反します。 
 また、このように法科大学院のカリキュラムの中途で司法試験の受験を認めることになれば、出題範囲を狭くし、問題の難易度も落とさざるを得なくなるはずですから、司法試験がいまよりさらに簡単になるのではないでしょうか。それで国民の人権を擁護するための基礎的素養が身についているかどうか、適正に判断できるのでしょうか。こうした疑問にもかかわらず、日弁連は、「ギャップターム」解消についても、法科大学院の生き残り策の1つとして容認しています。

(3)法科大学院の、適性試験受験者はピーク時の10分の1以下になり、前記したとおり、入学者数は2006年の5784人から2018年度の1621人まで減少しています。つまり、法科大学院は全く人気がありません。これに対し、予備試験の出願者は1万3000人を超え、受験者は1万人を超えています。つまり、いまの法曹志願者は予備試験人気に支えられています。
 とすれば、法曹志願者を増やすべきというのであれば、法科大学院制度を縮小し、予備試験制度を拡充するのが、最も効果的ということになるのではないでしょうか。

(4)しかしながら、日弁連は、いまだに法科大学院を法曹養成の中核と位置づけるとともに、政府の方針には従順です。
 たとえば、日弁連は、「未習者3割以上」基準を撤廃する文科省告示の「改正」についてすら、「やむを得ない」との意見書を提出しています。同基準を撤廃すれば、多様性確保の要請に応えられるのか、重大な懸念が生じます。このような法科大学院の理念に反する「改正」についてすら、日弁連は反対していないのです。

(5)よって、日弁連は、法科大学院を法曹養成の中核とするとの従来の方針を改め、政府に対し、法科大学院を司法試験の前提としない制度改革を求めるべきです。
 また、上記の制度改革が実現されるまでは、日弁連は政府に対し、予備試験合格者が法科大学院修了者よりも司法試験受験において不利益に扱われている不合理な現状、たとえば、予備試験の合格者数が司法試験合格率に比して少ない上、予備試験に合格した年に司法試験を受験することができないといった現状の是正を求めるべきです。