重点政策案 第4:少年法と刑事法の改悪を許さず 、「改正」刑訴法の見直しを求める

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1 少年法と刑事法の改悪に反対します。

(1)法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会では、少年法における「少年」の年齢を18歳未満とすること、非行少年を含む犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事の実体法及び手続法の整備(①起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方、②少年鑑別所及び保護観察所の調査・調整機能の活用、③宣告猶予制度、④罰金の保護観察付き執行猶予の活用、⑤刑の全部の執行猶予制度の在り方、⑥保護観察、社会復帰支援施策の充実、⑦社会内処遇における新たな措置の導入、⑧自由刑の在り方、⑨若年受刑者に対する処遇原則の明確化等、⑩施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方、⑪社会内処遇に必要な期間の確保、⑫若年者に対する新たな処分)などが検討されています。

(2)少年法の適用年齢引き下げには断固として反対するべきです。少年法における「少年」の年齢を18歳未満とすることは、更生可能な少年の成長発達を手助けする義務と責任を放棄することであり、ひいては、若年者の再犯を増加させ、社会秩序の維持にも資さないからです。 
 なお、少年法の適用年齢の引下げの理由の1つとして、選挙権年齢が18歳になるのであれば、全ての法律において、成人となる年齢を18歳に統一することが国の法体系として望ましく、わかりやすいということが挙げられています。しかしながら、選挙権年齢は、若者の政治参加の保障という観点から考えるのに対し、少年法の適用年齢は、上述した少年保護の観点と社会秩序の維持の観点から考えるべきです。「国法上の統一」や「わかりやすさ」という基準で安易に決められるべきではありません。

(3)検察官による「起訴猶予に伴う再犯防止措置」の法制化にも断固として反対するべきです。この措置は、検察官が改善更生のために働き掛けが必要と判断する被疑者に対し、一般的に守るべき事項や犯行の特性に応じて守るべき事項などを設定し、検察官自らが主体となって、一定期間、指導・監督を行うこと等を内容とする仕組みです。しかし、これを認めてしまうと、検察官が裁判官の役割を果たすことになり、虚偽自白・えん罪を招く危険があります。この措置には日弁連も反対する意見書を提出しており、引き続き反対の声を上げていくべきです。

(4)そのほか、法制審議会では、人権擁護の観点から看過できない危険性を有する法ないし制度の「改正」が審議されており、これを不断に監視して、少年法と刑事法の改悪を許してはいけません。

2 「改正」刑訴法の見直しを求めるべきです。

 「改正」刑訴法が2015年8月に成立しましたが、同法には以下のような重大な問題があります。すなわち、取調べの録音・録画制度については、裁判員裁判対象事件のような極めて狭い範囲に限定されている上、録音・録画の実施に当たっては、取調官の裁量によって、広範な例外事由が認められています。また、証拠開示制度については、公判前整理手続に付される事件のみを対象とし、全面的証拠開示の実現にはほど遠い内容です。くわえて、弁護人に交付される証拠一覧表には、証拠の内容を知るために不可欠となる要旨の記載がなく、実効性の観点からも問題があります。さらに、「改正」刑訴法は、えん罪防止を図り、適正手続の保障を徹底するという当初の目的を逸脱し、捜査手法の拡大にも踏み切りました。
 このうち、通信傍受については、傷害や詐欺といった「重大な犯罪」とは言い難い犯罪にまで対象を拡大しており、過去の最高裁判例に照らしても、違憲となる疑いが濃厚と思われます。また、いわゆる司法取引制度の導入は、自らの利益のため、被疑者・被告人が故意に他人を引き込むことによって、新たなえん罪が構造的に生み出される危険性が高いものです。
 上記の種々の問題点を十分に考慮した上、従来の糾問的な捜査手法を改革するとともに、えん罪の防止を図り、適正手続の保障を徹底するという観点から、「改正」刑訴法を抜本的に見直すべきです。
 日弁連は、全面可視化を求めていましたが、2016年5月の「改正」刑訴法では一部の可視化に止まっています。施行後3年の見直し時期に向けて、日弁連として全面可視化を実現する運動が求められます。
 あわせて、取調への弁護人の立会権の実現も重要な課題です(平成30年11月30日近弁連人権擁護大会決議)。