重点政策案 第2:弁護士業務の改善を目指す

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1 政府に対し、法律扶助予算を抜本的に拡充し、法律扶助制度の基本的性格を貧困者対策から福祉政策へと転換することを求めます。

2 政府に対し、日本司法支援センター(法テラス)の低額かつ不合理な報酬のあり方を見直し、報酬と実費を引き上げるとともに、被援助者への給付制を実現すること、少なくとも償還免除を大幅に拡大することを求めます。
 償還免除については、むしろ「日本司法支援センター中期目標」においては償還率90%以上を目指すとされており、法テラスに日弁連から強く働きかける必要があります。生活保護に準ずる被支援者の償還免除拡大に向けた運動も強化発展させる必要があります。
 また、政府に対し、法テラスのあまりに煩雑な手続を簡略化するなど、手続面での改善も求める必要があります。

3 法律援助事業の国費化を求めることも重要な課題です。犯罪被害者、難民、外国人、子ども、精神障害者等、生活保護などの分野における法律援助事業については、現在は、国費負担ではなく、弁護士会費で賄われています。この毎年の支出額が、2016年度の約6.2億円から2019年度には7.3億円に増大する見込みとのことです(毎年5~6%の増加)。
 これらの分野において、またさらに新たな分野において、人権擁護活動を一層充実していく必要があることは当然ですが、一方で、これらの事業については、私たちの会費で賄われる筋合いのものではなく、早期に国から費用を支出すること(国費化)を求めるべきです。

4 弁護士偏在対応については、弁護士過剰の時代に応じた政策の見直しを進めるべきです。また、偏在対応弁護士事務所については、貸付等の安易な援助制度に頼ることなく、地方自治体との提携を強める等、法律事務所の経営を継続して支えることのできる実質的な支援策を構築しなくてはなりません。
 かつて弁護士過疎といわれた地域においても、いまや、新興大手弁護士事務所の進出、出張相談、地域を問わないインターネット経由の相談や受任といった、新たな現象と過当となりかねない競争の状況が進行しており、日弁連は、こうした現実を踏まえ、さらに将来を予測したうえで、偏在対応政策を見直す必要があります。
 たとえば、日弁連は2017年度、北海道・枝幸町(北海道旭川地方裁判所名寄支部中頓別簡易裁判所管轄地域)に公設事務所を開設し、同事務所に対し2000万円を限度として援助金を支出することを決めました。同事務所の近隣にはすでに、4つの「ひまわり基金法律事務所」があります。そもそも、同地域では、法テラスが予測事件数僅少であることを理由に過疎地対応事務所の設置を見送ったという経緯があります。法テラスも尻込みする偏在対応まで日弁連が担わなくてはならないのでしょうか。
 偏在対応弁護士事務所については、日弁連から貸し付けた補助金等の返済免除申請が2017年度だけで13件ありました。これでは、会費の使い方として会員から理解されないのではないでしょうか。
 とくに、弁護士過剰の時代において、今後も日弁連が、独立開業支援補助金(貸付金)の支出を続ける必要があるのか、問い直す必要があると思います。日弁連によると、同補助金については2017年時点で、貸付合計が4億9900万円(146件)、返済合計が1億3900万円(36件)、免除合計が5200万円(16件)、貸付残額が3億700万円になっているとのことです。
 また、偏在対応を担わされた、主に若手の弁護士が精神疾患等のため業務が遅滞し売上が伸びず、日弁連からの貸付金の返済ができなくなったといった、返済免除の申請が相次いでいます。このような無理な偏在対応を改める必要もあると思います。そして、開業資金を貸し付けるだけではなく、自治体等との連携や経営相談などについても、日弁連からの継続的なフォローが必要です。

5 労働時間の短縮、女性への差別的扱いやセクハラ及びパワハラ等の禁止、いわゆる「ブラック事務所」問題への対応など、弁護士の労働環境を改善するための制度的な対応を検討し、この実現を目指します。
 前記した、第69期及び第70期の「弁護士就業状況アンケート集計及び分析結果」からすれば、こうした対応に緊急的に取り組む必要があります。それは日弁連の責務です。
 若手弁護士の働き方に関する問題については、勤務条件のミスマッチ や入所後のトラブルを防止するため、勤務時間、休日休暇、給料・収入、個人事件の受任の有無等、最低限合意すべき事項について定めたガイドラインを策定すべきではないでしょうか。また、ひまわり求人求職ナビが就職活動において活用されていることから、同ナビの記載事項を見直し、たとえば離職率、勤務条件明示書面の交付の有無等の項目を加えるといった工夫をすることも有意義であると思います。